その図書館の隣りには「読書の森公園」という公園がある。高い木々が茂っていて、その下にはベンチがある。ベンチで本を読んでいると木漏れ日が開いたページに模様をつける、なかなか気分の良い場所だ。
ある日僕は出勤のためこの公園を通った。そこには公園いっぱいところせましとどんぐりの実が落ちていた。こんな都会なのにどんぐりを踏みしめて出勤した。
次の日早番だった僕は、朝またこの公園を通った。とどうしたのだろう、昨日あんなにあったどんぐりが一つもなくなっていたのだ。掃除がはいるというはなしも聞いていないし。不思議に思いながら裏口を開け児童室を通った。すると本が一冊机の上に出ていた。昨日帰るとき書架にきちんと入れたのに、とその本を見ると、それは「3びきのくま」の絵本、心なしか3匹の熊たちのおなかが少し膨らんでいるようにみえた。