フィリス・レイノルズ・ネイラー著 さくまゆみこ訳 岡本順画 あすなろ書房
動物大好きの私、近ごろネット上などで動物虐待の話題が多くとても心を痛めています。
そんな私が夏休みに文庫用の本から手にとったのが「シャイローがきた夏」でした。
森の中で偶然出逢った小さなビーグル犬。11歳の少年マーティは一目で魅せられますが、この犬は酷い虐待を受けていたのです。粗野で無法者の飼い主からこの犬を救うために、マーティの奮闘が始まります。無力な子供であるマーティの必死の努力と葛藤。一つ嘘をつくと、それを隠すためにまた嘘をつかなくてはならない、犬を守るため、嘘に嘘を塗り重ねてはまっていく(しかも他人まで巻き込んでしまう)。そして罪悪感を抱えたまま。物語の展開にハラハラ、ドキドキ、最後は自分なりの知恵と工夫で案件を解決します。
この解決法は正しかったのだろうか、気持ちがすっきりしない最後ですが、物事には正しいか正しくないかでは、図り切れないことがらがあるのを、感じざるを得ません。子どもの読者にはどうなのか?子どもだからこそ読んで感じてもらいたいのか、悩むところです。
アメリカでは非常に評価が高くニューベリー賞なども受賞しているそうです。
少年の行動に日本人としては少し違和感を感じます。アメリカ的な正義や道徳観な感覚、宗教に対する思いなど、ひさしぶりにアメリカ(外国)と日本の差を感じられる本でした。
さて、文庫でこの本を誰に手渡そうか?動物好きの子どもは多いけど、上級生じゃないとちょっと難しいかも。まず考えられるのは、文庫のスタッフのTさんかな?
動物の虐待、遺棄、などに強い怒りを持ち、犬の譲渡会に関心、理解、想いのある方です。ちなみにTさんの家族のワンちゃんは譲渡犬です。
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