2012年2月27日月曜日

母と娘の「ロッタちゃんのひっこし」




○ちゃんは小学1年生、長いことかよっているありがたい文庫のヘビーユーザーです。本が大好きで文庫でずいぶんたくさんの本を読んでいて、最近はかなり大きい子の本も読みだしました。○ちゃんのお母さんと文庫との付き合いはとても長く12~3年になります。○ちゃんのお兄ちゃんの幼いころからなのです。昔私が絵本の相談をしたこともある本好きで、もちろん昔から本大好き少女だったそうです。
○ちゃんの大好きな本の一つに「ロッタちゃんのひっこし」の本があります。日本でも長いこと読まれているスェーデンの有名な作家リンドグレーンの名作です。この本は「機嫌の悪いロッタはママにあたりちらして、一人暮らしをするとお隣の物置へひっこしますが、寂しくなって・・」という内容で子どもの心理がいきいきと表れているとても楽しい本です。長い間読まれているだけあってお母さんも昔この本を読んだのです。そしてわかったのは○ちゃんもお母さんもこの本の中で同じ挿絵が大好きだったこと。その挿絵が上に出ている絵です。ロッタちゃんが引っ越した家で一人でおままごと遊びをしていますがちょっと考えこんでいる絵です。窓の向こうには家族のいる自分の家が見えるし。(右側は表紙)
母娘って好みも似るのでしょうか。母娘で本の話ができるなんて、しかも大好きな挿絵が一緒だったなんて、なんてステキなことでしょう。本を読むのが大好きな○ちゃんとお母さん、これからも2人で本の話題で盛り上がる幸せな場面が目にうかぶようです。

「ロッタちゃんのひっこし」リンドグレーン作 ヴィークランド絵 山室静訳 偕成社 2000(c1966)

時を経て子どもの心をつなぎ続けるこの本と挿絵の見事さを、はからずも証明したようです。

2012年2月12日日曜日

イラストレイター 多田景子さん



原宿の画廊で開かれていた多田景子個展「軽い手荷物の旅」に行ってきました。女の子を主役にしたやわらかい、心和む絵がたくさん展示されていました。じっくりみているとゆったりの中にも何か引き込まれるものがあり、ちょっと”不思議”も感じられて特別な時間でした。私が製作者本人の多田景子さんに会ったのは二十数年ぶりです。そう景子さんがまだ小学生のころ以来です。すっかり落ち着いた物腰の女性に成長されていましたが、何かの拍子に見せる表情が昔のかわいらしさを思いださせてくれました。
去年私のところへある電話がかかってきました。「昔ご近所に住んでいたTですが、覚えていらっしゃいますか?」という第一声、昔すぐ近くに住んでいて引っ越しされた方、景子さんのお母様からでした。「もちろん覚えていますよ」という答えに娘さんがイラストレイターになられたこと、今回出版された本の挿絵を担当しているので、本をもらってくれませんか?ということでした。こんな嬉しい申し出に二つ返事で「喜んでいただきます」というとなんとその30分くらい後にお母様が自転車で「カッシアの物語」という本を届けてくださったのです。景子ちゃんは三人姉妹の真ん中、お姉ちゃん、妹さんと一緒に文庫にかよってきていました。今でも三人姉妹のかわいいおかっぱの幼顔が目に浮かびます。お母様がいうには『景子ちゃんが一番じっくりと本をみて選んでいる。急かさないでゆっくり選ばせてあげて』と私が言ったそうです。私は忘れていましたが、そういえば『帰ろうよ』と言ってお姉ちゃんたちが外に出ても黙って書架の前で本を見ていてなかなか動かなかった景子ちゃんの姿を思いだしました。その後同じ杉並区内に引っ越されましたが、景子さんはすごく本好きの少女に成長したようです。外に出るよりもうちの中で静かに絵を描いたり本を読んですごし、美術大学に見事合格して、それからは好きなイラストにかかわる仕事をされているということです。「バンビ文庫のおかげです」などと身に余る言葉をいただき、何にもやっていない私は面映ゆく、てでも内心とっても嬉しい!個展をみながら心から思いました。「景子ちゃん がんばれ!私は○○番目のファンです」
頂いた本は「カッシアの物語」プレジデント社刊 アメリカで一昨年発売されたベストセラーで、ヤングアダルト向けの大型ファンタジーです。今度一時帰国する本好きの中一の孫娘に読ませようと楽しみにしている私です。(上の写真は多田景子さんの作品集から掲載させていただきました)